日本三大峡谷の一つ「清津峡」にて長い年月に思いを馳せる

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自然の美しい景色というのは、基本的には人間が立ち入りにくい場所に広がっているものです。それはそうですよね。人が近づかないからこそ開発されず、現在までその美しさを保っていられるのですから。

私のようなペーパードライバーは車が運転できないので、観光地のアクセス情報に「◯◯ICより車で△△分」しか載っていない場合は諦めるしかありません。(タクシーを使えば可能ではありますが、やはりコストが気になってしまいます…)

しかしご安心ください。今回ご紹介する美しい景色の観光地「清津峡」は辛うじてバスの運行があります。

最寄りのバス停から清津峡の入口までは30分ほど歩かなければなりませんが、そこだけは頑張りましょう。自然の美に触れるにはそれなりの苦労を要するということです。

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こちらのトンネルが清津峡の入口です。

トンネルは全長750m、往復で30~40分かかります。バス停からここまでで既に30分歩いているので、ゆっくり休憩しながら進みましょう。

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清津峡の渓谷美を楽しむには最深部まで進む必要があります。

渓谷美そのものは自然が生み出した芸術ですが、最深部までの道中では人間が生み出した芸術を楽しむことができます。

例えばこのトンネル。普通に道を照らすだけなら最新LEDの力で明るく照らすことは容易なはずです。しかし敢えて光の色を青や赤などに変えて、こちらの冒険心をくすぐってきます。

途中にある見晴らし所も現代アートの装飾が施されていました。そこにはお手洗いもあるのですが、そのお手洗いすらアートの一部になっています。ぜひご自身の目で見に行ってみてください

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トンネルを歩いた先、最深部のパノラマステーションがこちら。水鏡に反射して円形になった先に渓谷が広がる、芸術的な景色です。

SNSで話題になったのでご存知の方もいらっしゃるかもしれません。しかし私が最も感動したのは、水鏡越しの景色ではなく奥に広がる渓谷美です。

水が張られていますが、端側を歩けば水深0.5〜2cm程度なので歩いて奥まで進むことができます。では、奥の円形部分まで行ってみましょ

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円形部分に立って見える景色がこちらです。私はこんなに美しい渓谷を初めて見ました。ビッシリと形が揃った断崖。無生物のはずなのに、まるで生きているかのような威圧感があります。

海底火山の火山灰が降り積もって固められ岩となり、そこにマグマが流入して冷え固まった「柱状節理」という構造のようです。なんと今から700万年前には清津峡の原型ができていた、とのこと。

これだけの規模になるまでにどれだけの火山灰が積もったのだろう。

マグマが冷えて固まるまでにどのくらいの時間がかかったのだろう。

この川は今までどれだけの岸壁を削っていったのだろう。

気の遠くなるような長い長い年月に思いを馳せ、心が洗われました。今までは比喩表現としか思っていなかった「大地のエネルギー」を感じたような気がします。

美しい自然の景色を見に行くのは容易ではありませんが「これほど感動させてくれるのであればぜひ他の場所にも行ってみたい」「タクシーを使う価値もあるかもしれない」と、考え方を改めさせてくれる体験でした。でした。

ライター:あぐ