イギリスの街と聞いて思い浮かぶのは、ロンドン・マンチェスター・リバプールといった大都市だと思います。
では「ブラックプール」という街をご存じですか?
ブラックプールは、北イングランドの街。マンチェスターやリバプールから電車で北に1時間半ほどのところに位置しています。「観光におすすめ!」のような記事をみたことはほぼなく、日本人の中ではイギリスに長く滞在している方以外にはほとんど知られていない街だと思います。
そんなブラックプールですが、「イギリスで一番物価が安い街」として紹介されることが度々あります。
働きながらのんびり旅している私は、ある日、イギリスで1ヶ月滞在できる安い部屋を探すためにAirbnbを見ていました。
すると、桁違いに安いところがブラックプールに1軒。ロンドンの半額ほどです。安かろう悪かろうかと思いつつも一応見てみると、評価はなかなか。個室+共有キッチン&シャワー&トイレ、さらにコワーキングスペースまでついているという。迷わず予約し、行ってみました。
直前までモロッコにいた私は、マンチェスター空港まで飛行機で移動し、バスに乗ってブラックプールに向かいました。バスを降りると、なんとなくなぜ安いのか分かるような気がしてきました。そう、空き家が多く、カジノが至る所にあり、どことなく治安の悪さが漂っているのです。
煉瓦造りの建物が並ぶ「ザ・イギリス」な街並みも、あまり手入れがされておらず、どこか寂しげで、お世辞にも綺麗とはいえない。
古いホテルを買い取って、海外ノマドをメインターゲットとしたコワーキングシェアハウスとして再利用している建物。建物内も古いものの、アンティークな家具がよく似合うクラシックで暖かい雰囲気です。
全部で14部屋あり、ここに滞在する人たちのほとんどが、オンラインで仕事をしながら世界を転々としているとのこと。社交的な人が多く、仕事以外の時間はお喋りしたり、ゲームをしたり、たまに一緒に飲みに出かけたり、近所の海に行ったり、マイナスから始まったブラックプールの街の印象は、どんどん華やかに彩られていきます。
宿泊費が安いことに加え、飲食店の安さもピカイチです。ロンドンでは生ビール1杯の相場が6ポンド(約1,200円)ぐらいであることに対し、ブラックプールには1.85ポンド(約370円)で同じサイズの生ビールが買えるお店もあります。
思い返すと、洗練された雰囲気の東京よりごちゃごちゃした大阪が好きで、いかにも高そうなレストランよりもおばあちゃんが一人でやってるローカルな立ち飲み屋が好きな私。住めば住むほどブラックプールが好きになり、1ヶ月の予定だったのを3ヶ月まで延泊し、さらにリピーターにもなってしまいました。
観光におすすめするかと聞かれると「うーん…」ですが、中長期で滞在するところを探している方の中で、ちょっとニッチな街が好みの方は、ぜひお試しください!
ライター:あすみ