イタリアは、世界中で広くよく知られている国だが、中でも特に注目されるのが料理である。イタリア料理は、そ の多様性と豊かなバリエーションで、世界中の食通たちの味覚を魅了する。健康的で軽い食事のミックスサラダやフ ルーツサラダから、ラザニアやピザのようなボリュームのある料理までイタリア料理は誰もが楽しめる豊かな味わい を提供している。 イタリア人は食べることが大好きで、特に誰かと一緒に食事を楽しむことを好む。そして食後には、消化を助ける リキュールを飲む習慣もある。中でも、リモンチェッロは特に愛され、国際的にも有名な消化酒。このさわやかなレ モンリキュールが、今回の記事の主役となる。 リモンチェッロの魅力的な歴史、独特な作り方、文化的な意義、そしてさまざまな楽しみ方を一緒に探ってみませ んか?また、イタリアの人気ブランドも紹介し、最高なリモンチェッロの味わいをお届けします。リモンチェッロの 長年のファンの方も初めての方も、この記事を通じて、イタリアの伝統の中心にあるリモンチェッロの豊かな世界を 味わっていただけることでしょう。 それでは、イタリアで最も愛されるリキュールの秘密を一緒に探っていきましょう!
はじめに。リモンチェッロとは?
リモンチェッロとは、鮮やかな黄色と甘い味わい、そして強いレモンの香りが特徴的なリキュール。アルコール度数 が30~35%と高めでありながら、イタリアらしさを象徴する飲み物。このリキュールは、カンパニア州の美しいソレ ント半島を発祥の地とされ、製品規定によって、この地域で栽培されたIGPレモンのみを使って作られるのである。 リモンチェッロはカンパニア州、特に美しいソレントの街周辺と強く結びついている。しかし、その発祥を巡って 地元のコミュニティ間では今も熱い議論が続く。カプリ島、アマルフィ、そしてソレントの各地がリモンチェッロ発 祥地だと主張しており、その正確な起源は今なお明らかになっていないのである。
リモンチェッロの名前には、使用されるレモンの種類が重要な要素として関わっている。これらのレモンは、植物 学的に「シトラス・レモン」(正確には、ヘスペリディア)と呼ばれる果実で、具体的には「アマルフィ・スフサー ト(Sfusato Amalfitano)」または「フェミニエッロ・ソレント(Femminiello Sorrentino)」という品種である必要がある。 品種は異なるが、どちらもPGI(保護された地理的表示)として高く評価されている。 PGI指定はレモンの品質を保証するものだが、リモンチェッロの生産地を限定するものではない。つまり、どの企 業であっても、どこで生産されていても、ソレント半島産の高品質なレモンを使えば「リモンチェッロ」として販売 できるということになる。
リモンチェッロは、食後の消化を助ける飲み物として、カクテルの材料として、また料理の風味付けとしても楽し むことができるイタリアの職人技と伝統を象徴するリキュールだ。その豊かな歴史と文化的な背景から、リモン チェッロは単なる飲み物を超え、イタリアの明るい海岸やその活気を感じさせる存在となっている。イタリア人は主 に食後にこのリキュールを楽しみ、消化を助ける効果があると信じている。実際、ハーブや果物を使ったリキュール や蒸留酒は、古くから消化を助けるために作られており、昔の薬局やハーブ店では治療目的で作られたものであっ た。これらの消化促進剤には、根やハーブ、スパイスを抽出したものや、果物をアルコールに漬け込んで作られるリ キュールが含まれる。特に食後に提供されると、その苦味は胃液の分泌を促進し、消化を助けるため、非常に優れた 効果を発揮するのである。 イタリアには古くからビターやリキュールを製造する伝統があり、しばしば家庭のレシピが使われてきた。グラッ パやコニャック、ジン、ウイスキーなどのお酒も食後に楽しまれる。リモンチェッロが食事の終わりに飲まれるのに は理由がある。リモンチェッロは自然で純粋な消化促進剤であり、着色料、防腐剤、添加物を一切含まず、その豊か な香りは胃にも舌にも心地よい。特に重たい食事の後には、ビターの代わりにぴったりなのである。リモンチェッロ の主成分であるレモンの皮にはビタミンが豊富に含まれており、抗酸化作用や防腐作用があるため、リモンチェッロ はまさにイタリアの伝統の中でも特別な宝物と言え流だろう。 アマルフィ海岸のPGI「リモーネ・コスタ・ダマルフィ」の認定を受けるスフザート・アマルフィターノ種は、その 独特な特性で知られている。この品種は、中くらいの厚さの明るい黄色の皮を持ち、その強い香りと芳香はエッセン シャルオイルやテルペンが豊富に含まれていることによる。これが、特にリキュールの製造において非常に貴重とさ れる理由となる。
ナポリのフェデリコ2世大学の最近の研究で、この品種のレモンは、健康に欠かせないアスコルビン酸、つまりビ タミンCを豊富に含んでいることが分かった。そのため、スフザート・アマルフィターノは、特にリモンチェッロの製 造において、非常に価値のある品種とされる。このレモンを使ったリモンチェッロは、着色料や保存料、添加物を一 切使用していないため、その豊かな香りが楽しめるだけでなく、自然な消化促進効果もあり、体にも優しい飲み物な のである。
リモンチェッロの歴史
リモンチェッロの起源は謎に包まれている。リモンチェッロは、1900年代初頭カプリ島の小さなゲストハウスで 最初に「発見」された。このゲストハウスは、レモンとオレンジの庭を手入れしていたマリア・アントニア・ファラー チェ夫人が所有しており、現代精神医学の父の一人であるアクセル・ムンテの別荘の近くにあった。ブルーアイラン ド(カプリ島)の学者や知識人たちは、昼食後にファラーチェ夫人のもとを訪れ、ファラーチェ夫人の祖母のレシピ で作られたこの有名な消化促進リキュールを楽しんだとされている。イタリアワイン・蒸留酒産業組合(Federvini)に よれば、今日私たちがリモンチェッロのレシピを知っているのは、このファラーチェ夫人のおかげだというのであ る。戦後、彼女の甥がアクセル・ムンテの別荘の近くにレストランを開業したが、その店の名物は祖母の古いレシピ に基づいたレモンリキュールであった。そして1988年、彼女の息子であるマッシモ・カナーレがリモンチェッロの 小規模な職人製造を開始し、商標を登録。しかし、この伝統的な黄色のリキュールの起源にまつわる伝説や物語は、 ソレントやアマルフィなどにも数多く存在しているのである。 リモンチェッロの歴史を辿るのは難しい。ある人々は、ローマ時代にまでさかのぼると考えており、ポンペイで発 見されたフレスコ画がその証拠だとしている。そのため、リモンチェッロは「発明された」とは言わず、1900年代に 「発見された」と言われる。また、一部の伝説では、リモンチェッロが1000年より前、サラセン人の侵略時代にま でさかのぼり、アラビア半島の人々がレモンを栽培していたことが起源だとも伝えられているのである。 また別の説によると、リモンチェッロは17世紀のソレント半島の修道士たちによって発明されたとも言われてい る。冬の寒さを凌ぐため、レモンと蜂蜜を使ったリキュールを作っていて、そのレシピが世代を超えて受け継がれ、 今日私たちが知るリモンチェッロになったというのだ。
現在、リモンチェッロは国境を越えて数十年にわたり世界中で人気を博している。海外の市場にもリモンチェッロ のボトルが並び、新たにアジア市場への進出も進んでいる。リモンチェッロは、ビターやアマレットと並ぶグローバ ルな製品として確立されつつあり、その人気の一因には、俳優ジョージ・クルーニーとダニー・デヴィートの影響も ある。 2006年、ダニー・デヴィートは当時非常に人気のあったアメリカのテレビ番組『ザ・ビュー』に出演。デヴィート はホストのロージー・オドネルの前で、酔っ払った様子で、「前日にジョージ・クルーニーの家で7杯のリモンチェッ ロを飲んだ」と話した。この発言がきっかけで、リモンチェッロの販売が急増したのである。そしてデヴィートはビ ジネスへの関心と情熱から、自らのリモンチェッロを製造し始め、アルコール生産に乗り出した初の著名アーティス トとなった。これに続いて、クルーニーをはじめ、ライアン・レイノルズ、ジェイ・Z、ドレイク、ダン・エイクロイ ド、フランシス・フォード・コッポラなど、多くの著名人が参入したのだ。
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最高のイタリア製リモンチェッロとその楽しみ方!
リモンチェッロの有名な3つのブランドと、そのリキュールを味わう素敵な方法をご紹介!
ヴィラ・マッサ「ソレントIGP」
(Limoncello di Limone di Sorrento IGP Villa Massa)
ヴィラ・マッサ(Villa Massa)のリモンチェッロは、ソレント半島とカプリ島で栽培されたレモンのみを使用して 作られる、イタリアの職人技が光る代表的なリキュール。このリキュールは、代々受け継がれてきた家族のレシピに したがって作られており、伝統的な手法とこだわりを大切にする姿勢が、ヴィラ・マッサ(Villa Massa)をリモン チェッロの国際的なトップブランドに押し上げたのである。 このリモンチェッロは、鮮やかな黄色とほのかな緑がかった色合いを持ち、レモンの皮の心地よい香りが特徴。そ の複雑な風味を引き立てる絶妙な香りのニュアンスも感じられる。アルコール度数は30%で、食前酒やカクテル、ま たは食後の一杯として、さまざまな場面で楽しめるリキュールである。
プロフーミ・デッラ・コスティエーラ「リモーネ・コスタ・ダマルフィIGP」 (Limoncello di Limone Costa d'Amalfi IGP Profumi della Costiera)
プロフーミ・デッラ・コスティエーラ(Profumi della Costiera) の「リモーネ・コスタ・ダマルフィIGP」は、カ ンパニア地方の豊かな柑橘の伝統を香り高く、そして本格的に表現している。アマルフィ産のレモンを使用し、丁寧 に洗浄された後、薄く皮を剥き、ステンレス製の容器で7~10日間浸して作られる。その後、水と砂糖から作ったシ ロップとレモン風味のアルコールがブレンドされ、しばらく寝かせることで、洗練され且つ調和の取れた味わいが生 まれるのである。エレガントな箱に収められたこのリモンチェッロは、カンパニアの柑橘文化を体現する一品となっ ている。 アルコール度数32%で、鮮やかな黄色が特徴のこのリモンチェッロは、爽やかなシトラスの香りと強いレモンの風 味があり、春を感じさせるようなさっぱりとした味わい。食後のデザートにもぴったりで、トニックウォーターやア イスクリーム、フルーツサラダとも相性抜群。プロフーミ・デッラ・コスティエーラ(Profumi della Costiera) のリ モンチェッロは、700mlのボトルで価格は€20.70。
パッリーニ リモンチェッロ (Pallini Limoncello)
パッリーニ・リモンチェッロ(Pallini)は、アマルフィ海岸で伝統的に栽培され、「コスタ・ダマルフィ IGP」認証 のレモンの皮を使って作られる、名高いリキュール。手摘みされた貴重なスフサート種のレモンが使用される。これ らのレモンは、その新鮮な風味を最大限に引き出すため、手摘みされるとすぐに浸漬され、その鮮度と風味をボトル に封じ込めている。 パッリーニ・リモンチェッロ(Pallini)は、さまざまな楽しみ方ができる万能なリキュール。氷を入れてそのまま飲 んだり、冷蔵庫で冷やしてストレートで味わったり、カクテルや料理に使ったりと、その使い道はほぼ無限大。イタ リアならではの独特な風味は他に類を見ない。製造に使用されるスフサートレモンは、細長い形状や特有の風味、ビ タミンCが豊富な薄い皮、そして爽やかな精油が特徴的。酸味が少なく、甘みがあることでも有名である。このリ キュールは、遺伝子組み換え作物不使用、グルテンフリー、そしてコーシャ認証も取得している。 パッリーニ・リモンチェッロ(Pallini)は、アマルフィ海岸の味を存分に楽しめる純粋で贅沢なリキュール。アル コール度数は26%で、1Lのボトル€16.00で販売される。グルテンや農薬、遺伝子組み換え作物を一切使用しておら ず、一口ごとに爽やかで美味しい味わいが楽しめる。
結論
リモンチェッロは、アマルフィ海岸の伝統と職人技が詰まった逸品。丁寧に作り上げられたこの鮮やかなリキュー ルは、今やイタリアを象徴する世界的なシンボルとなり、世界中の人々を魅了し続けている。 リモンチェッロは、何世紀にもわたる歴史を持ち、カンパニア地方のリキュールの王として君臨している。鮮やか な太陽のような黄色と、シャープさと甘さが絶妙に調和したその風味は、ソレントやアマルフィ海岸の喜びと精神を 見事に表現している。1900年代に正式に「定義」され、1980年代まで地域外ではほとんど知られていなかったにも かかわらず、リモンチェッロはその後、国際的な名声を獲得した。今日では、カンパニア地方の美しい海岸を訪れる
観光客にとって、リモンチェッロは試すべき必須の一品となり、古代からの魅力的な歴史を感じさせる黄金のひとし ずくとなった。 リモンチェッロを楽しむことは、イタリアの太陽に照らされた果樹園や活気ある伝統を巡る旅のようなものであ る。ストレート、オンザロック、カクテルに混ぜる、どんな飲み方をしても、リモンチェッロはアマルフィ海岸の本 場の味わいを感じさせてくれるだろう。
参考文献
https://www.federvini.it/trend-cat/215-breve-storia-del-limoncello https://www.federvini.it/en/federation/who-we-are
https://m.my-personaltrainer.it/alimentazione/ limoncino.html#:~:text=Il%20limoncello%20è%20un%20particolare,inquadra%20nel%20gruppo%20dei%20SUPER alcolici.
https://www.360italymarket.com/it/blog/il-limoncello-nascita-e-storia-b21.html https://www.cookist.it/la-storia-del-limoncello-dagli-antichi-romani-a-george-clooney-e-danny-de-vito/ https://villailturro.com/il-limoncello-elisir-dallorigine-incerta-e-dal-successo-internazionale/
https://moodique.com/it/liquori-e-distillati- digestivi#:~:text=In%20particolare%2C%20il%20gusto%20amaro,e%20quindi%20contribuisce%20alla%20digestio ne.
https://www.salernotoday.it/cronaca/sfusato-amalfitano-limoncello-benefici-organismo- salute.html#:~:text=Non%20per%20niente%20il%20limoncello,ma%20anche%20per%20il%20palato.
https://www.vino.com/selezione/i-migliori-liquori-al-limone https://limoncellopallini.com/it/