おいしい伝統:イタリアのクッキーの世界を探ろう

· 文化・食べ物

皆さんはご存知でしょうか?イタリア人の3分の2はクッキーで1日を始めるのです。これは本当です!この愛されている朝食の伝統は、イタリアに根付いたクッキー文化のほんの始まりに過ぎません。イタリア人は朝だけでなく、おやつや午後のお楽しみ、そして夜食としてもクッキーを楽しみます。地域ごとの職人技が光るものから人気ブランドのクッキー、家庭に伝わるレシピまで、クッキーはイタリアの生活に欠かせない存在です。この記事では、イタリアのクッキーの豊かな歴史と多様性を探り、イタリアで人気トップ3のクッキーブランドを紹介します。イタリアの甘い魅力の世界へ!それでは始めましょう!

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ビスコッティ:イタリアのクッキーのラテン系ルーツをたどる豊かな歴史の旅

イタリアのビスコッティ(「クッキー」という意味のイタリア語)は、材料と香りによって多様な形状、味、サイズで提供される。"ビスコット"という用語は、おそらくラテン語の"panis bis coctus"(10世紀にさかのぼる)に由来し、"2度焼きパン"を意味し、その特徴的なサクサク感を指す。古代ローマ人はおそらくパンの保存期間を延ばすため、「panis bis coctus」を考案し、甘いビスケットや蜂蜜、スパイス、干しフルーツなどが入った甘いビスケットやウエハースを作り出した。これらは伝統的に、蜂蜜、小麦粉、卵、そして牛乳または水で作られていた。このエネルギッシュな食べ物は、帝国の兵士にとって不可欠であり、帝国全土での長期間にわたる軍事遠征でしばしば使用されたのだ。兵士たちには、戦闘を支えるために長期保存が可能でエネルギー豊富な食料が必要だったのである。

ビスコッティは、イタリア人や多くの人々の主食であるパンから生まれた。パンは、スープ、再利用された料理、甘いものなど様々な食品の源となった。これらのレシピは時間と共に進化したが、その起源はすべての中で最も神聖な食べ物であるパンにあったのだ。パンは地面に落ちた場合にはキスされるほど尊重され(今日でもおばあちゃんたちが守っている伝統)、最後の一片まで無駄にされることはない。同様に、古くからあるクッキーも、すべての菓子作りの基盤であり、現代のケーキやインスタ映えする一口サイズのデザートによって隠れてしまうが、その重要性は変わることはないのである。

修道院が登場したことで、イタリア文化を今なお豊かにする多くのクッキーのレシピが誕生した。これらの自家製のお菓子は、シンプルで素朴な味わいがあり、地域ごとに異なる進化を遂げている。北部ではバターをたっぷり使ったほろほろとしたクッキー、南部では食後にリキュールと楽しむのにぴったりなカリカリとしたクッキー、中央部ではオリーブオイルで作られたクッキーが見られる。それぞれのバリエーションは、イタリアの「クッチーナ・ポーヴェラ」(質素な料理、ピザもその一例)の創意工夫と食材を無駄なく使う技術を象徴している。

本当の変革が起こったのは19世紀半ば、小さなビスケット工場がヨーロッパ各地に登場し始めたときだった。これらの初期の工場が、今日の大規模な製菓業界の先駆けとなっている。おいしいお菓子を大量かつ一貫して生産する驚くべき能力がそこにはあった。近年、現代のペストリー作りは新たな高みに達し、あらゆる物体を模倣した食べられるアート作品を作り出すことに焦点を当てている。このトレンドにより、多くのインスタグラムクリエイターは有名になり、彼らはその驚くほどリアルで壮大な作品で、何百万ものフォロワーを獲得している。パティシエのマグリ・アルベルトはその有名な1人で、素晴らしい作品をインスタグラムで見ることができる。そこには幾何学的でカラフルなケーキ、様々なペストリー、クロワッサン、小さなケーキが並んでいる。その中でも特にクッキーは特別な存在感である。クッキーは典型的な朝食の一品であり、ミルクに浸して食べてもそのまま味わっても楽しめる。その多用途さから、コーヒーブレイクやアフタヌーンティーにもぴったりで、贅沢なひとときを提供してくれるのである。

イタリアの伝統的な手作りクッキーの発見

 

これまでご紹介したように、クッキーはイタリアで最も愛され、広く親しまれているお菓子のひとつで、その歴史は古代にまでさかのぼります。イタリアのクッキーの伝統は豊かで多様であり、世代を超えて受け継がれてきたレシピや、若い人からお年寄りまでの味覚を魅了するペストリーアートが特徴です。ここでは、イタリアのクッキーの魅力を探りながら、歴史、伝統、そしてユニークな味覚の旅に出かけましょう。イタリアの料理遺産には、各地域が誇る伝統的な手作りクッキーが数多くあります。それでは、パティスリーやスーパーマーケットにあり、愛され続けているクッキーのいくつかをご紹介します!

「サヴォイアルディ」

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「オッフェッレ」

オッフェッレ・ディ・パローナは、どんな時間にもぴったりの永遠のおやつ。これらのクッキーは、コッリ姉妹によって最初に生み出されたもので、シンプルで質の高い材料、小麦粉、バター、砂糖、卵、オリーブオイル、そして酵母で作られる。その持続的な人気は、その楽しい味と食感に由来する。このロンバルディア州の伝統的な乾燥ビスケットは、両端が細く尖った楕円形をしており、本当においしく、作り方も非常に簡単である。オッフェッレ・ディ・パローナは多くの場面で活躍する。朝食に、昼食の合間の軽いおやつに、食後の美しい締め括りにも、そして大切な人への素敵な贈り物としても最適で喜ばれること間違いない。

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「アマレッティ」

 

中世に起源を持つアマレッティクッキーは、13世紀末に知られる世界中に広まった。これらのアーモンドベースの宝石のようなクッキーは、アーモンドペースト、卵白、甘いアーモンドと苦いアーモンドのブレンドで作られており、その独特の味と食感で愛されている。イタリアで生まれたアマレッティは、ルネサンス期にアラブ諸国やヨーロッパ全域に広がった。イタリア国内では、特にサルデーニャ州やロンバルディア州産の苦いアーモンドを使用したものが有名だが、フランスでもロレーヌ地方やバスク地方で根強い伝統がある。このお菓子は主に二つの種類がある。サロンノタイプはサクサク、ほろほろしたもので、サッセロタイプは柔らかくマジパンに似ているものだ。どちらも小さなドームのような丸い形状で、表面にはひび割れがある。これらも一日中どんな時でも楽しめるクッキーで、サヴォイアルディと同様に、ティラミスを含む他のスイーツのベースとしても使われることもある。

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「バーチ・ディ・ダーマ」

「貴婦人のキス」とも呼ばれるバーチ・ディ・ダーマの起源は、魅力的な謎に包まれている。一部では最初にトルトーナで作られたと信じられているが、パティシエのオーガスト・マネッリによってノビ・リグレで作られたとする説もある。これらの美味しいクッキーはピエモンテ料理の典型で、バターとアーモンドのショートブレッドパイ生地で作られ、ダークチョコレートで二つがくっつけられ、まるで二つの唇が「口づけ」するような形をしている。ここから名前がつけられたのだろう。バーチ・ディ・ダーマは、おそらく19世紀中頃にトルトーナで生まれ、最初はピエモンテ地域で経済的で手に入りやすいヘーゼルナッツを使用していた。後にアーモンドに置き換えられ、そのサクサクした口溶けの良さでイタリア国内外で有名になった。最も有名な種類、バーチ・ディ・アラッシオは、ハチミツとココアを含んでいて、1919年にパスクアーレ・バルゾラが特許を取得したレシピだ。これらのクッキーは世代を超えて多くの人々を魅了する甘味の口づけを提供している。

 

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「カネストレッリ」

カネストレッリは中世に遡る古代のクッキーで、元々は「ネブレ」として知られていた。結婚式や洗礼、宗教的なお祝いの場で高く評価され、頻繁に用いられていた。今日でもその繊細で風味豊かなバターの味わいで多くの人々の心を掴んでいる。中世の甘いおやつであるカネストレッリは、カーニバルや村の祭りなどで家族によってよく用意されていた。この名前は、ピエモンテ語で「カネストレレ」(編む)に由来し、庭師が地面に対角線に二列の竹を植えるときのように、格子状に交差することを意味する。カネストレッリを特徴づける型のデザインは、その独特な調理法に基づく。小さな丸い生地が特殊なトングで加熱された火の上で焼かれる。さまざまなバージョンがあり、クラシックな材料(小麦粉、砂糖、バター、卵)にココア、ヘーゼルナッツ、ハチミツ、ココナッツなどの異なるフレーバーが加わるものなどもある。しかし、ヴァイエの伝統的なものは、すりおろしたレモンの皮のみを使用している。

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「クルミリ」

クルミリは、1878年にカザーレ・モンフェッラートで生まれた典型的なクッキーだ。小麦粉、バター、砂糖、卵から作られるシンプルな生地で、その形状はおそらく同年に亡くなったヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のひげを模している。クルミリはパティシエのドメニコ・ロッシによって作られ、豊かなバターの風味とサクサクした食感で評価されている。興味深いことに、その名前は「ストライキをしない労働者」を意味する「クルミーロ」に由来し、その頑強さを象徴する。イタリアの伝統的なクッキーの中で、クルミリは甘すぎないそのバランスの良さで、多くの人々に愛されている。

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ご紹介したクッキーは、それぞれが地域の誇り、料理の芸術、そして美味しいおやつを分かち合う喜びのひとときを物語っている。イタリアの伝統的な職人技のクッキーを探求することは、単なる味の旅ではなく、歴史と文化の楽しい冒険でもあるのである。

イタリアの伝統的なレシピに加えて、現代のイタリアンクッキーには創造性と革新が加わった新しいバリエーションが登場し、新たな味覚で楽しませてくれる。レモンとけしの実のクッキーがその一例だ。爽やかな香りが魅力で、新しい味を楽しみたい人々の間で急速に人気を集めている。有機レモンとけしの実を使用することで、独特の風味とさわやかさがそこに生まれる。冒険好きな人には、ダークチョコレートとチリのクッキーが刺激的でぴったりである。濃厚なチョコレートの味とチリのピリッとした刺激が意外な組み合わせで楽しい。このレシピでは、高品質なチョコレートと新鮮なチリを使用して、その独自の魅力を最大限に引き出している。甘じょっぱいものが好きな人には、ローズマリーとソルトのクッキーがぴったりである。新鮮なローズマリーの豊かな香りと海塩の風味が絶妙に調和して、味覚を楽しませてくれるのだ。

最後に、洗練された香り豊かな体験を求める人には、ラベンダーとハチミツのクッキーがおすすめ。乾燥ラベンダーの花の香りと有機ハチミツの自然な甘さが絶妙にマッチして、優雅で落ち着いた味わいが楽しめる。これにより、ラベンダーとハチミツのクッキーで他に類を見ない独特な味覚体験ができるのである。





トップ3の人気クッキー!

イタリアの伝統的なクッキーや職人技が光るクッキーを見てきましたが、続いてイタリアで最も人気のあるクッキーブランド3つを紹介します。地域ごとに異なる職人のクッキーは多種多様で、1番を決めるのは難しいですが、市販のブランドは多くの人々に愛されています。それでは、トップ3の人気ブランドを見てみましょう!

「Mulino Bianco(ムリーノ・ビアンコ) 」

ムリーノ・ビアンコはイタリアで最も有名なクッキーブランドで、幅広いラインナップが魅力である。クラシックな「アブラッチ」(ココアとクリームの絶妙なミックス)から、サクサクの「ガレッティ」ビスケットまで、ムリーノ・ビアンコの美味しいセレクションは、何十年にもわたってイタリアの家庭で愛されてきた。高品質な材料と革新的なフレーバーへのこだわりで、常にトップに君臨している。「パン・ディ・ステッレ」(丸いチョコレート風味のクッキーに白い砂糖の星がトッピングされたもの)や「マチネ」(ドーナツ型のバターとバニラ風味のクッキー)は必見。特に「パン・ディ・ステッレ」は大人気で、小さなケーキやブリオッシュなど、いろいろなバリエーションがある。さらに、自宅で簡単に作れる「パン・ディ・ステッレケーキ」のレシピもたくさんある。

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「Pavesi(パヴェージ)」

もうひとつの人気ブランド、パヴェージはシンプルながらも美味しいクッキーで有名。「リンゴ」クッキーは、チョコレートとバニラのクラシックな組み合わせで、子どもから大人まで大人気。「パヴェージ」クッキーはシンプルで軽くて美味しいのだ。また液体をよく吸収するので、ケーキの土台やティラミスにも使われることがある。Pavesiは伝統的なレシピを守りつつ、現代の味覚にも合わせてアレンジされるので、多くのイタリア人の心を掴んでいる。また、「ゴッチョレ」というチョコチップが入った涙型のクッキーも人気があり、ホットミルクに浸すとチョコが溶けて絶品。これも多くの人に愛されている絶対に食べて欲しいクッキーである!

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「Gentilini(ジェンティリーニ)」

ジェンティリーニは、職人技の品質へのこだわりで際立っている。特にリッチでバターの風味が豊かな「オスヴェーゴ」ビスケットで有名。伝統的な製法と高品質な材料を使っていて、まるで地元のパン屋の焼きたてのような味わいだ。伝統と革新のユニークな融合で、全国の大人たちに愛されるブランドとなっている。

 


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今回ご紹介したブランドは、イタリアの商業的なクッキーの最高峰で、イタリア人に故郷の味を提供しています。コーヒーと一緒に味わったり、牛乳に浸して食べたり、手軽におやつとして楽しんだりすることで、日常生活にイタリアの甘さを取り入れることが出来るでしょう。これらはイタリア全土のスーパーマーケットや小売店で手軽に手に入り、広く知られ、愛されています。皆さんも機会があればぜひ、一度試してみてください。きっとその美味しさに魅了され、他のクッキーには手を出せなくなることでしょう!












参考文献

原文 Valentina Gianmaria

翻訳 H